004「水サワーみたいな恋をして」

「WATER SOUR」を飲んでみた


ナオ:最近コンビニに行くとたいてい、サッポロの「WATER SOUR」っていうのが売られていますよね。8月24日に発売されたらしく、レモンとオレンジの2種類あって。

パリ:ありますね。

ナオ:あれ初めて飲んだ時、あまりにただの炭酸水みたいで驚きました。

パリ:それを聞いて僕も飲んでみましたよ。

ナオ:どうでしたか?

パリ:正直、いくら神経を集中してもアルコールが入っているかどうかの確証が持てなかった。

ナオ:ははは。疑いの目で見てる。度数が3%ですごく軽い飲み口なんですよね。

パリ:「芸能人格付けチェック」みたいな番組、あるじゃないですか。

ナオ:なにかふたつのものが出てきて、より価値のあるほうを選べたら一流、みたいなやつですよね。

パリ:そうそう。あれで炭酸水とWATER SOUR並べて出されたら、どっちがお酒か当てられなさそう。

ナオ:かもしれない。こんなに好きで飲んできたのに、お酒の味が分かってないっていう。

パリ:「どっちがお酒でしょう?」がね。

ナオ:っていうかだって、「ちょっとお酒を控えようかな」と思ったとき、私たちはノンアルコール飲料を飲んだりしてるわけじゃないですか。

パリ:はい。

ナオ:あれは自分を騙してるっていうか。「これはお酒だ! うまいうまい!」って思いながら飲んでる。お酒を見抜けないからこそ騙せるっていうか、そっちもありますもんね。

パリ: 確かに。そして、ノンアルビールとかは自分のなかに需要あるんですよ。でもこっち、いわゆる微アル系の需要がぶっちゃけ、ない。あくまで自分にはですが。

ナオ:うんうん。つまり、お酒を飲んでいい状況でわざわざあまり酒感のないものを飲む必要がないっていう。

パリ:そう。もしお中元にこれがたくさん送られてきたら、焼酎を足して飲みますね。

ナオ:ははは。パリッコさんは絶対そうだろうと思った。それにしても「ウォーターサワー」ってすごい言葉じゃないですか?

パリ:なんか言ってそうでなにも言ってないような。「レモンサワー」や「梅サワー」に当てはめると「水サワー」ですよ。まるで清流のような。

ナオ:水サワー、全身に浴びたいですもんね。夏は汗かいて家に帰ってくるなり、まず水サワーを浴びて、そのあと、縁側でスイカ食べたい。

パリ:「水サワーキャンプ場」に2泊くらいしたい。

ナオ:夏休みの思い出ですね。

パリ:水サワーで流しそうめんして。

ナオ:プールのジェット水サワーで遊んではしゃいで。

パリ:夕方、急な水サワーが降ってきて。

ナオ:そして、水サワーみたいな恋をしてね。

パリ:ひと夏限りの。

ナオ:水サワーのようにあっという間に歳をとり、笑って天寿をまっとう。

パリ:自分、選べるならば「水サワー葬」がいいです。

ナオ:はは。シューッとどこかに流して終わりみたいな。


ハーフヘルファー


パリ:でも、世界的にブームみたいですね、その微アルが。

ナオ:さっき、ウォーターサワーの商品の概要文を見たんですが、「この商品は、炭酸水のような感覚で爽快にのどを潤してくれる甘くない低アルコールRTDであり、米国などで人気のRTDである「ハードセルツァー」に着想を得た、日本生まれのハードセルツァーです」とありました。

パリ:そう。ハードセルツァーってのがアメリカでブームで、それに日本企業がどんどん参入してるんですよね。オリオンビールから出てる「DOSEE」ってのなんか、度数2%ですよ!

ナオ:本当だー。相当ライトな飲み口でしょうね。少しリラックス効果のあるジュースみたいな感覚で飲むのかな。

パリ:一度、昼寝の前にでも試してみようかな。っていうかそもそも、サトウキビ原料の蒸留酒と炭酸がベースで、そこに甘味料を加えずほんのりフレーバーを足したのがハードセルツァーってことらしいんです。それがヘルシーだと。ならもう、アメリカでプレーンチューハイ流行ってもいいと思うんですよね。キンミヤの原料だってサトウキビだし、「シタマチ」みたいな呼び名で。

ナオ:あってもおかしくないですね。つまり、ハードセルツァーのもう少しハードなやつってことでしょう?

パリ:ハードハードセルツァーね。まぁ、度数は自分で調整できるけど、チューハイはやっぱり7%くらいほしいもんな。

ナオ:セルツァー < ハードセルツァー < ハードハードセルツァーと、だんだん度数が増えていくわけだ。以前、ラズウェル細木さんがストロングゼロに甲類焼酎を足して飲むとおっしゃってましたけど、それなんかもう、何セルツァーなんだろう。

パリ:「ヘルツァー」って感じ。

ナオ:ははは。地獄(ヘル)ツァー。

パリ:「ハードヘルツァー」かな。だって、ストロング系チューハイがすでにヘルツァーでしょ。

ナオ:なるほど。ヘルツァーのさらに上。

パリ:セルツァー < ハードセルツァー < ハードハードセルツァー < ヘルツァー < ハードヘルツァー。

ナオ:あの穏やかなラズウェル細木さんが「ハードヘル」とは、やばいです。

パリ:もしラズ先生のお名前が「ハードヘルツァー細木」だったらイメージ違うもんな。

ナオ:そのハードヘルの域まではいかなくても、普段の私たちはアルコール度数7%のチューハイなんかを好きで飲んでるんだから、ヘルに片足は突っ込んでますよね。

パリ:はい。ハーフヘルツァーですね。

ナオ:まだまだハーフか。半分地獄。裏を返せば半分天国。人生ってそんな感じしますね。

パリ:ほんとです。しかしハードセルツァーからずいぶん間の抜けた響きになったな。いっそ、「ハーフヘルファー」くらいのほうがいいかもしれない。

ナオ:はは。なんか、歯がなくても発音できそうな言葉。


完全無観客小芝居


パリ:まぁでもきっと、ウォーターサワーがちょうどいい人もいるんですよね。というか、そっちが多数派なのかもな。

ナオ:私は好きですよ! 最初7%のを飲んで、そのあとこれにしたりする。

パリ:あ、その手もあるか。ここからスタートではなく。

ナオ:そうそう。居酒屋でビールからチューハイに移行するように、チューハイからさらに薄めのものへと。

パリ:そう考えると飲みかたの選択肢が増えますね。最近、昼にビールが飲みたいとき、けっこう「微アリー」は飲んだりするんです。あれなんて、アルコール度数0.5%ですよ。でもノンアルとは気分が違う。

ナオ:あれも美味しいですよね。しっかりとビールの味がして。

パリ:初めて飲んだ時は「0.5%でこんなにも!」って思いました。

ナオ:デイリーポータルZの林さんがお酒をやめて、ノンアルや低アルのドリンクに凝っていらして、それで教わりました。そういえば、大阪で林さんの出演するトークイベントへ行った時に、「また今度よかったら飲みにでも!」って言えないじゃないですか。この気持ちをどう表現したらいいのかわからなくて……。

パリ:なるほど、確かに。

ナオ:「散歩でもしましょうよ!」っていうのもおこがましいし。

パリ:わはは。林さんなら受け入れてくれそうですが。そもそも、うちらって酒ありきだから「ごはんでもいきましょう!」って提案の選択肢が頭からすっぽり抜けてるんですよね。

ナオ:あーそうか。「ごはんいきましょう」でいいのか。酒がなかったらあてのない散歩をするしかないってわけではないな。

パリ:けど飲み会より緊張しますよ。食事会って。

ナオ:そうですね。「食事会」っていうとお互いが向き合ってる感じだけど、一緒に酒を飲むってなると、お互いが同じ方向を向いてる感じがありません?

パリ:ある!

ナオ:それこそ一緒に散歩したり、ドライブしたりしてるような、あんまり緊張しないですむ感じ。

パリ:実際には向かい合って座ってても、どこかに向かってみんなで進んでる感じ。

ナオ:そうなんです。酩酊へと向かってるわけだけど。

パリ:ヘルのほうへ。

ナオ:はは。みんなで地獄へ向かってる。食事会でもたとえば、ちょっと珍しい料理とかさ、「今度イノシシ鍋が美味しいお店でも行きましょう!」とかだったら、なんか同じ目的を目指してる感じで誘いやすい。

パリ:うん。逆にお互いの中間地点のカフェとかだったらもう、何を頼んでいいかわからないですよね。「これ、頼んだらダサいって思われないかな?」とか考えちゃって。居酒屋ならなんの気がねもなく好きなもの頼むのにな。しかも、人も食うやつを。

ナオ:ははは。相手の意見も聞かずに「どて焼き2本ください!」とか言いますもんね。それがどうだ、カフェでフラペチーノを前にして震えてる。

パリ:あ、でも今気がつきました。例えばそのカフェのメニューにウォーターサワーと微アリーがあったら、急にリラックスできそう。

ナオ:そうですね。

パリ:酔えるからというよりも、既成事実というか。飲んでるからただの食事会ではないという。

ナオ:スタバにハードセルツァーが置かれるようになってほしい。

パリ:ですね!「あ、あるんだ〜。珍しいから頼んじゃおうかな」って小芝居して。

ナオ:ははは。最初から知ってたのにね。

パリ:「これくらいならOKですよね?(笑)」つって。

ナオ:「濃いコーヒーかと思ったんですが、これ、飲んでみたら、薄いお酒らしいですわ!」って。

パリ:わはは! よく知らないで頼んだ体で。「あの人、毎回それやってるよ」って別の人にチクられ、裏でついたあだ名が「ウォーターボーイ」。

ナオ:できたチームが「ウォーターボーイズ」。

パリ:「酒の穴」あらため。

ナオ:そんなときのために小芝居の練習をしておきたいな。そもそも、暮らしのなかで小芝居することってけっこうありますよね。

パリ:あるある。家を出てから道で忘れ物に気づいたとき、すっとUターンすればいいだけなのに「あ、あれ忘れた!」的な。

ナオ:観衆のいない小芝居ね。誰もいない家のなかで、出かけようとしてドア開けて「いやいやいや、マスク忘れてるって!」とか言ったりしますもん。

パリ:ははは。誰もいない家のなかだとよくしゃべるんだよな〜。

ナオ:私もです。テレビをつけて、若い人たちの青春っぽいCMが流れると「いいなー! 青春だね!」とか言ったりする。

パリ:わはは。

ナオ:そして「こっちはこれですわ!」と焼酎をズズーッと飲んで。

パリ:うわ、急に思い出した。めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど、中学生のころとか、なんかでクラスの女子としばしふたりきりになったりしたとき、何も会話が思いつかないからひたすら「ねみ〜」っつってあくびしてた記憶がある。

ナオ:ははは。

パリ:恥ずかしすぎる小芝居。

ナオ:「口数が少ないのは眠いせいなんです」っていうね。

パリ:「寝てないから頭まわってないだけでー」

ナオ:あとさ、なんか気まずいとき、何も探してないのに「あれ、どこだっけ……」ってリュックあけて中身を見たりします。

パリ:ははは。あるある!

ナオ:なにも探してないからなにも見つからない。

パリ:で、「あ、そうか、家だ家だ」っていう、顔で小芝居して。

ナオ:「あれぇ……まあ、いっか」つってチャックしめてね。リュックのなかにはコンビニでもらった割り箸が3つぐらい入ってるだけでね。いつか必要になるかもって取っておいたやつ。

パリ: ゴソ、ゴソ、って荷物をかきわけるふりしてるんだけど、カバンの中身は割り箸のみ。これでもない、これでもない。

ナオ:自分が情けなくなります。「この割り箸はローソンのだろ? こっちは……」。

パリ:「あ、セブンの家に置いてきちゃったか〜」って。まじ、悲しい生き物ですよ、人間。

ナオ:神様、俺たちの小芝居、見てますか?

パリ:あなたしか見られないんだから、ちゃんと見ててよね。

ナオ:本当ですよ。

パリ:横にいる人も見てくれてないんだから。

ナオ:はは。完全無観客ですからね。配信もなし。


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